日 程: | 令和元年8月29日(木)13:00から16:30まで |
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場 所: | 東京都千代田区二番町12-2 東京地学協会(地学会館)講堂 |
参加者: | 34人(中高・大学生5人、中高校の先生10人、その他19人) |
講 師: | 宇根 寛(日本地図センター客員研究員・元国土地理院 地理地殻活動研究センター長) |
内 容: | 夏休み終盤の暑い日でしたが、中学生から70歳以上の方まで、遠くは東北や関西からも参加者がいらっしゃいました。今年3月まで国土地理院のセンター長を務められた宇根先生を講師に招き、地形図についての基本的な講座や、実際の地形図を用いて読図の実習、各自が持参したスマートフォンやタブレット等を用いてWebの地理院地図の使い方を学んだりしました。後半には各種の主題図の紹介もあり、多様な地図がさまざまな場面で利用されていることがよくわかりました。最後には活発な質疑応答もあり、とても充実した講座になりました。 |
具体的な講演内容は次の通り。
前半は地図の基本的な知識の講義と、国土地理院発行の地形図から地形を読み取る方法の実習が行われた。
紙とデジタル、縮尺の違い、一般図と主題図など、地図にはどんな種類があるか、なぜ国が地図を作るのか、など、地図の基本を学習した。
参加者全員に2万5千分1地形図「青梅」図幅が配布され、地形図には何が書いてあるのかを確認した。
地形図の等高線などから高さをどのように読み取るか
・標高数値を読みとって地形の傾向をつかもう
・計曲線を色鉛筆でなぞってみよう
・傾斜の急なところはどこだろうか
・傾斜のゆるやかなところはどのような地形だろうか
実際に地形図の等高線をなぞって、等高線と標高数値をもとに地形図から地形を大まかに把握する実習が行われた。
次に、等高線がどのように描かれているのかを理解するため、左右を赤青に色づけたメガネにより立体画像(アナグリフ)を観察し、航空写真から地形を実体視するしくみを実習した。
後半は、国土地理院が提供しているWeb上の地図「地理院地図」の使い方についての講演と実習で、参加者全員が持参した端末(ノートPCやタブレット)をインターネットに接続し、地理院地図を各自自由に閲覧した。最後に、地図から自然を理解することで、自然災害の危険地域や人間社会の営みと地形が密接に関わっていることが紹介された。
地理院地図とは何か。何ができるのか
- 最新の道路や鉄道が載っている!
- 地形や災害リスクがわかる地図・写真が見られる!
- 昔の写真が見られる!
- どこでも標高がわかる!
- 3Dでも見られる!
各自の端末で地理院地図を操作し、何ができるのか、どんな地図が見られるのかを実習した。
過去の地図(古地図)の検索、閲覧や色別標高図の閲覧、断面図の作製、三次元(3D)図の操作など、各種機能の使い方を学習し、地理院地図を用いて地形を理解することを実習した。
地形図や地理院地図を使って地域の成り立ちと災害リスクをどのように読み取るか
地形から自然の営みを理解する地図:地形分類図
災害:自然の営みと人の営みの接点
・現在の土地は過去の自然の営みの結果である。
・自然の営みは当たり前の物理現象である。
・自然の営みは予測できる。
・自然の営みは人には止められない。
・自然の恵みがなければ人は生きられない。
・自然の営みと人の営みがけんかすると災害が発生する。
地形図や地理院地図を使って地形を理解しその背景にある自然の営みを知って災害に備えよう。